story

ムーアンドプラントは、北海道の環境問題を解決するための施設と
3年以上の発酵熟成から生まれたオーガニックの液肥です。

全国の約半数の乳牛が飼われている北海道では、産業廃棄物の第1位がふん尿です。 1頭あたり1日約60キロのふん尿は、大地や河川を汚染し環境問題となっています。 乳牛のふん尿は、水分が多くそのままでは堆肥化できません。「北海道の自然を守りたい」という想いから生まれた施設は、水分調整剤の大量投入に頼らずに液肥化技術を開発し、特許を取得しました。発酵熱は60度以上にもなり、種子や有害微生物を不活化します。 ムーアンドプラントは、この液肥をさらに独自の方法で発酵と熟成を3年以上繰り返し、植物に有効な成分を濃縮、無臭化しました。 これにより、家族経営の酪農で作られていた貴重な熟成液肥を復刻しました。昔ながらの堆肥のように、時間をかけなければ得られない多様な成長因子を豊かに含みます。 なくしてはいけないものを未来に伝えるために、ムーアンドプラントは、乳牛と植物を繋ぐサスティナブルな循環を願ってつけられた名前です。

MOO&PLANTができるまで

酪農は自然に大きな環境負荷をかけています。 特に家畜糞尿問題は未だに解決できていません。
ヨーロッパでは環境型、循環型酪農という考え方があり、乳量は日本の3分の2程度に抑えながら、牧草地の面積に合わせて飼養頭数が制限されています。
ところが日本の酪農経営は、国際競争による経営難から廃業する酪農家が増えたことで、一部の酪農家は生き残りを掛けて大型設備を導入して飼育頭数を増やし、輸入飼料に依存しながら乳量の増加をはかり、経営の効率化をすすめてきました。その結果、自前の圃場では持続可能な循環処理が出来ないほどの大量の糞尿が発生しています。
乳牛1頭の1日の糞尿量は60~70kg、水分の比率は87%以上です。 糞尿はドロドロの状態で、そのままでは積み上げることができないので堆肥にはなりません。 そこで一般的な牧場ではワラやおが屑などの敷料や副資材に水分を吸収させ、倍以上に膨らんだ糞尿を堆肥舎に積み上げ、切り返しを行い発酵させて堆肥にします。

敷料が不足した場合、どのような事態に陥るかは容易に想像できます。高水分の糞尿は堆肥舎からあふれ出して、環境汚染をおこす危険性が高くなります。
さらに気温がマイナスになる北海道では、糞尿は春まで凍りつきます。春になると冬の間貯めておいた糞尿を一斉に牧草地や農地に撒きます。その匂いは何キロも漂うことになります。地元の人にお会いした時に「鼻が曲がるほどの臭いだから、一度その時に見に来ればいい」と言われました。糞尿の散布の時は事前に知らされ、観光客の目に触れないように観光バスも通行しなくなるそうです。
今も北海道の山奥では深刻な地下汚染が拡大しています。
これらの環境破壊は、のどかで風光明媚な山間や田園で深刻化しています。

牛舎
積み上がるふん尿

特許を取得した環境プラント

plant

このプラントの最大の特徴は、糞尿を「無希釈」で液肥化できることです。無希釈処理ができれば設備を小型化できます。維持管理費用も少なくなり、膨大な糞尿処理費用の軽減ができます。さらに水で薄めていないため総量も減少し、処理後の液肥の肥効が良くなります。乳牛の糞尿は匂いが強く、粘性が高く、泡が異常に発生して比重が重いなど、処理は工業廃棄物より難しく、これまで無希釈処理は困難でした。技術的な難関をクリアして完成したプラントは、特許を取得しました。もう一つの特徴は、自らの発酵熱により処理が連続的につながる画期的な省エネルギー型の施設ということです。北海道の真冬は気温が−20度以下にもなり、ふん尿は処理する前に凍りついてしまいます。これを処理するには、ボイラーを使って溶かす必要があります。このプラントでは、処理中の発酵熱を循環して使うので余計なボイラーを使う必要はなく、一気に処理できるのです。 牛舎から集められた糞尿は、固形分とドロドロの水分に分けられます。固形分は堆肥舎に運ばれ、堆肥化されます。分離された水分は、微生物の働きで発酵させます。60度以上まで発酵温度を上昇させ、雑草の種子や有害微生物を不活化、およそ7日間かけて発酵した液は、液肥となって巨大なラグーンに貯められます。

酪農から消費者への循環を願って

プラントから作られる液肥を牧草地に散布したところ、牧草や野菜や花などの生育に驚くほどの効果が現れました。 この液肥を消費者が使うことが出来れば、酪農家ともう一つの循環の輪ができます。 そのためには、家庭で気軽に使えるほどの十分な発酵熟成と無臭化することが必要でした。そこで、独自の方法で発酵熟成を3年以上繰り返すことで初めて商品化が可能になりました。この発酵過程は、ワインの発酵熟成と同じです。 一切の化学物質を添加しない有機100%で、植物に有効な成分を豊富に含む安心で安全なこの発酵液を「牛と花をつなぐ」という意味で、植物活性エッセンス「MOO&PLANT」(うしと花)と名づけました。

新潟市の支援
商品化をするにはどうすればいいのか。悩んだ末に新潟市の地域産業振興を支援する新潟IPC財団(現在は(公財)新潟市産業振興財団)の存在を知り相談に行きました。 様々なアドバイスをいただきながら、たいへんお世話になっています。新潟IPC財団から紹介いただいたことで、日刊工業新聞の全国版に記事が掲載されまし
新潟大学との研究
2010年12月、使っていただいた方や農家の成果をもとに、新潟市の産学連携支援制度の適用を受けて新潟大学大学院での研究が始まりました。 2011年1月には、大学院の教授と研究を手伝ってくれることになった大学院生と共に北海道へ行き、プラントを視察して酪農家さんの話をお聞きしてきました。 同年12月、研究結果の報告書が出来ました。
田んぼでの効果、米農家さんの協力
「何でも初めてはある。試しに使ってみよう」 農家さんは、初めて使うリスクを承知で2反歩の田圃を試験用に使うことを承諾してくれました。 1年目、在来種のコシヒカリは収穫期の台風や長雨で倒伏しやすいのですが、テストしている圃場の稲はしっかりと立っており、倒伏しませんでした。お米の味に違いが出るのではないかと期待しましたが、2009年は天候に恵まれ他との違いは見られませんでした。 それでも、農家さんは稲が病気になりにくく、害虫もつきにくい。という手応えを感じていました。2年目の2010年、全国的な猛暑の影響で 新潟県は1等米が過去最低の19%という大打撃を受けました。ところが、「MOO&PLANT」を施用した圃場の米は1等米(対照区の米は2等米)で、ごま葉枯病にもかからず、強風でも倒伏しませんでした。農家さんは稲刈りの時に「稲が生きている」「20年以上やってきてこんな籾は初めて」と興奮気味でした。食味も良好で評判がよくすぐに売れて、足りなくなりました。さらに、新米の時よりも半年ほど経たほうが熟成して味が落ち着き、美味しくなりました。「米には腐る米と熟成する米がある」農家さんは大きな手応えを感じていました。

3年目はこれまでのテスト圃場の他、有機無農薬栽培のコメ作りにも使用を始めました。土が変わり、穂肥の時期なのに葉色が均一でムラがありませんでした。
台風でも倒れない稲に育ち、玄米は艶のある良い米が収穫出来ました。米農家でのテストは3年目となる2011年秋、この田圃の米はおいしい。と評判になり、取引先のホテルやレストランからは「この米でないと駄目だ」とまで言われるようになりました。

モミ
効果の試験
根のはりが良い
田んぼでテスト
収穫
稲刈り

環境に、植物に、人にも優しいMOO&PLANT

植物が必要とする栄養素は16元素50種以上にも及ぶと言われています。乳牛は、食べた牧草を反芻しながら4つの胃袋で酵素と微生物の力を借りて消化しているので、植物の成長に必要な栄養素をたくさん含んだふん尿を排泄します。昔から、農家は土壌を豊かにする貴重な肥料として牛フンを使ってきました。
MOO&PLANTが植物ホルモンや酵素、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいるのは、乳牛のふん尿を発酵した堆肥だからです。植物本来の自然の生命力を引き出し、米や野菜がおいしくなるのはそのためです。

MOO&PLANTは、土の状態を改善します。まるでミミズが土を肥やすのと同じようになり、いつまでもフカフカの土は空気が循環し植物の根が元気に成長できます。観葉植物は、植え替えの頻度が少なくなります。においが無いので室内や家庭菜園、オフィスなどの鉢植えの花や観葉植物に使えます。化学物質に敏感なお子さんやペットのいる室内環境でも安心して使用できます。